おとり広告に騙されるな!悪徳不動産業者に来店しない方法はこれだ!
新年を迎えると、お部屋探しのCMをよく見かけるようになりますね。元不動産会社勤務のコワスンのジユンです。
この時期、賃貸の不動産業界では、1年を通して、お部屋探しが一番多くなる期間(1~3月)と言われますので、業界にとっては祭り(繁忙期)と呼ばれます。新入生、新社会人の節目となる春に向けて、一度はこの時期にお部屋探しした事があるのではないでしょうか。
一生にそう何度もお部屋探しをする事もないと思いますが、せっかく引っ越すのであれば、少しでも良い感じのお部屋に住んでみたいと思うはずです。そんなお部屋探し人を、食い物にする、おとり広告(囮広告)ってご存知でしょうか。
正直者(素直な人)ほど、悪徳不動産会社に足を運んでしまう理由がここに潜んでいるのですが、これからお部屋探しを始める人も、現在進行中の人も、是非最後までお付き合い下さいませ。
▼目次
◆おとり広告とは
◆不動産業界の集客方法について
◆悪徳不動産業者の手口はこれだ
◆おとり広告対策
◆まとめ
私は以前、不動産会社に勤務していたので、少しでもお部屋探しの参考になれば幸いです。
◆おとり広告とは
最近、話題となる事も多いおとり広告ですが、意外と知らない人もいるのではないでしょうか。消費者庁ではこのように説明していますが、正直分かりづらいです。簡単に説明すると、客寄せ用の偽物件情報となります。
インターネットで気になるお部屋を見つけて、「その物件は紹介中なので一度来店して下さい。」と言われ、不動産会社に訪問したのに、「残念ながら、申し込みが入ってしまいました。」というような経験をしたことありませんか。
あると言われたから行ったのにない、まさにあるある詐欺。あると言って呼び込む手口、不動産業界では、ある呼びと言います。この悪徳行為こそが、おとり広告なのです。
◆不動産会社の集客方法
それでは不動産会社は、客寄せする為にどのような方法で集客しているのでしょう。いくつかの集客方法はありますが、今回は、集客効果の高いインターネット(お部屋探しサイト)について説明します。
お部屋探しサイトの種類
不動産会社は、お部屋探しサイトの運営会社に料金を支払い、広告する掲載枠(数)をもらいます。掲載枠(数)が多くなれば、それだけ利用料金は高額となっていきます。多くの掲載枠(数)を購入すればそれだけ露出が増えますので、お部屋探しをしている人の目に留まる可能性は大きくなります。
しかし、掲載したお部屋情報や、写真を撮影し掲載する手間は、全て不動産会社が請け負う事になりますので、大変な労力です。正直な所、どこの不動産会社に行っても8~9割程度は、同じ物件しか紹介できませんので、掲載する物件情報が他社と被る事も非常に多くなります。
この業界では、相場よりも安く目に留まりやすい物件の事を、鳴り物(なりぶつ)と呼びます。鳴り物であると、複数の業者が競合する為、写真の見栄えを良くし、情報を詳細に掲載するなどして、他社との差別化を図り、客に目を留める工夫をするのです。
◆悪徳不動産業者の手口はこれだ
それでは、私が現役の時に、特に悪質と感じた、悪徳不動産の手口を見ていきましょう。お部屋探しをする人の大半が、インターネット(お部屋探しサイト)の閲覧からスタートさせます。
- 住みたい駅(路線)
- 家賃の上限
- こだわり条件(お風呂とトイレ別など)
大体この3項目のチェックが終われば、該当する物件一覧が出てきますが、その物件の中に、悪徳不動産会社が掲載する物件情報が潜んでいるのです。
- 人気駅である
- 人気のこだわり条件が備わっている
- 相場より安い
この3つを備えている物件情報は、検索結果の上位に表示されますので、閲覧頻度が高くなります。しかし、私が現役の時は、こんな好条件のお部屋は、ほとんど見た事がありません。このような物件情報は、おとり広告の可能性が高くなりますので気を付けた方が良いでしょう。
お部屋探しサイトの運営会社も、おとり広告に注意喚起をしており、掲載する際のルール、罰則を厳格化しています。それでは、サイト側からの規制に抵触しない物件情報を悪徳不動産はどのように手に入れるのでしょう。
簡単に言うと、悪徳不動産会社が自ら、オーナー(貸主)になり、相場より安い賃料でお部屋を募集するという事です。しかし、入居させる事はせず、あくまでも呼び込む広告の為だけに、ずっと空室のままにしておくのです。
お部屋探しサイト運営会社に、広告費として、毎月、数万~数十万円支払うなら、こちらの方が圧倒的に経費が掛からず、効果は抜群です。
3つの条件に該当するお部屋を、悪徳不動産が賃貸し、転貸(又貸し)する。
3つの条件に該当するお部屋を、悪徳不動産が所有し、賃貸する。
◆おとり広告対策
おとり広告かどうかの判断は、非常に難しく手間も時間もかかる為、有効な手立てというものは存在しません。しかし、いくつかのポイントもありますので説明します。
・分譲マンションに気をつけろ!
悪質なおとり広告のほとんどが分譲マンションです。オーナー(貸主)になる為には、募集する部屋を所有しなければいけない為、購入できる物件(分譲)が前提となります。転貸(又貸し)に関しても、分譲マンションだと、区分(個々の部屋)の為、転貸を許可するオーナーも出てくる可能性があると言う訳です。
・問い合わせしたお部屋のURLは常にチェックすべし!
お部屋探しサイトから、物件問い合わせすると、確認メールが届きます。その中には、お部屋のURLが届きますので常にチェックしておきましょう。お問い合わせしたお部屋がサイトから削除(申込・成約)されるとURLにアクセスしても、物件詳細が開かなくなります。
サイトに掲載した物件情報は、成約(契約締結)する前の、申込みの入った段階で、物件情報を非掲載にしなければいけないのです。
・すべての業者に問い合わせを入れよ!
1つのお部屋に対して、複数業者が取り扱っている場合、面倒ですが、全ての業者に問い合わせし、やりとりしましょう。問い合わせた業者が1社でも、申込みが入っていると回答すれば、他の業者があるといっても信じてはいけません。あるある詐欺(ある呼び)の可能性が高いです。
・告知事項ありを見逃すな!
これはおとり広告ではないですが、事故物件(人が亡くなった)部屋などには、必ず告知事項ありという記載をしなければいけないルールがあります。相場より安いなと思ったら、物件詳細を隈なく確認しましょう。
いくつかポイントをあげてきましたが、このようなケースが全ておとり広告ではありません。しかし、この記事を読む事で、最低限の知識を持って、お部屋探しする事が重要です。
◆まとめ
私は、約10年、不動産業界に籍を置いていましたが、おとり広告は非常に迷惑でした。しかし、その影で、頑張っている優良な不動産会社がたくさんある事も知ってほしいと考えました。
この先、おとり広告が根絶する事はないと思いますが、このような記事が広がる事で、少しでもお部屋探しについての知識を持つ人が増えてくれればうれしいです。お部屋探しの正しい知識を得ることが、悪徳不動産会社への対抗策となるはずです。
お部屋探しの心構えやポイントはまだまだありますが、それはまた次の機会に。